この研究結果は、異なる脳の萎縮パターンが異なる認知機能障害プロファイルと関連していることを示している、とテキサス大学サンアントニオ校のモハマド・ハベス博士が率いる研究チームは述べている。
「我々の結果は、1型糖尿病歴の長い中高年において、脳の形態が老化の加速と関連しているという仮説を支持するものである。」と研究グループは指摘している。
1型糖尿病の子どもや若者は、脳の構造的・機能的な変化を起こす可能性があり、これらの人は加齢とともに、記憶力や精神効率テストの低下、灰白質体積の減少を示すことがあると研究者らは述べています。
しかし、これらの変化がアルツハイマー病や早期脳梗塞などの病態につながるかどうかは、これまで不明でした。研究者らは、脳MR画像の結果とEDIC(Epidemiology of Diabetes Interventions and Complications)研究(1型糖尿病患者において最も顕著な変化を示す脳領域を追跡し、認知機能と脳の老化指標との関連性を評価)のデータを用いて、1型糖尿病患者の脳年齢とアルツハイマー病様萎縮の神経画像マーカーを評価しました。
本研究では、2018年から2019年にかけて脳MRI検査を受けた416人のEDIC参加者と、人口統計学的に同等ですが糖尿病ではない99人の成人を対象とした。糖尿病を持っている期間の中央値は37年でした。研究グループは、2つのグループ間のMRIデータをβ係数(値が大きいほどリスクが高いことを示す)を用いて比較しました。
ハベス氏らは、EDIC群は対照コホートと比較して脳年齢が6歳高いが、アルツハイマーの兆候に関しては両群が同等であることを発見しました。
また、糖尿病患者においては、両側の視床とプタメンを中心に脳年齢が高く、糖尿病でない人と比べて「精神運動および精神効率の低下」と関連していることも明らかにしました。
研究グループは、「今回の結果は、1型糖尿病の人は、1型糖尿病でない人に比べて、アルツハイマー病に関連した神経変性の初期徴候がないまま、脳の老化が進んでいることを示唆している」と結論づけました。
出典
https://www.auntminnie.com/index.aspx?sec=ser&sub=def&pag=dis&ItemID=140259